技術的な限界と闇

丸太を積み上げてその隙間に泥やら土を埋め込み雨風凌ぐ所からスタートしたログハウス。

徐々に進化し、チェーンソーとスクライバーの登場で劇的に変わりました。限りなく丸太同士を密着させる事が可能となった訳です。

丸太を密着させる交差部分(ノッチと言います)の改良も進み、アラン・マッキーさんが考案したサドルノッチでさらに精度が増し、それをマイナーチェンジした様な4ポイントサドルやウェッジノッチ等様々な改良が行われてきました。

しかしここまでだと言います。技術的進化・改良は出尽くした感があります。先程言いましたが「限りなく密着させる事が可能」にはなりましたが「完全に密着」は絶対に無理だからです。それは相手が生の木(丸太)だから。

丸太の含水率を限りなくゼロにする事は無理です。一本一本太さや含水率の違う丸太を積んでいくのでどう反るか痩せるかなど分からないのです。限りなく密着させれただけでも大したものだと思います。

木の収縮・重量が掛かる事により生じるセトリング。これにより隙間が出来てしまい、雨漏りや虫(ハチ・ゴキブリ・カメムシ・アリ等)・ヘビ・ネズミ・コウモリの侵入経路になりトラブルの原因になります。

この隙間をどうにかしてください、とよく相談されますが対処法はほぼ1つ、コーキングで埋める、です。

近年かなり優秀なコーキングが開発されてますが対処法がこれしかないってどうなんでしょうか?個人的にはかなり問題だと言います。そういう建物を選び住んでいるんだから自己責任、と言うのは少々酷かなと思います。
 
完全に密着出来ない隙間が生じる建物をその意匠やイメージで高額取引しているのがハンドカットログハウスです。お施主様の周りに設計士や大工さんがいたとしてログハウスの金額が高いのか安いのか質問してもさっぱり分からないでしょうね。

ログハウス躯体丸太金額及び加工手間の設定は見積りに記載されていたとしても普通の方には何の事だか分からない筈です。ここが狙い目なんですね、分からないのをいい事にやりたい放題乗っけてきます。殆どの業者がこれです。儲かるんです、だから。

まだ金額設定を開示しているならマシです。私は丸太1mで何円という価格設定にしてますがそれすら知らないビルダーもいます。これ位欲しいからという理由で見積り作成する輩です。

私が知る限り、良心的な業者やビルダーはかなり減ってしまいました。まともな人程手を引いています。不完全だと分かっている建物を売る事が出来ないからです。

だったらマシンカットログやP&Bなら良いんじゃない?、と言われそうですがそれは又の機会に。

おちさい建築㈱

埼玉県飯能市でログハウス・ティンバーフレームハウスなどの自然素材を使った家造りをしています。

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